マーク・チャップマン
マーク・デイヴィッド・チャップマン (Mark David Chapman、1955年5月10日 - ) はアメリカの殺人犯。ジョン・レノン殺害犯として知られる。
概要
当時ハワイ州ホノルルに在住していたチャップマンは、1980年12月8日の夜、ニューヨークのセントラル・パーク西側の72番通りにあるレノンの自宅であるダコタ・ハウスの前に到着した彼を射殺し、その場で逮捕された。ジョン・レノンの妻オノ・ヨーコの請願などを受け収監期間が延長されている[1]。2012年8月に7度目となる仮釈放申請が不許可にされたので釈放は早くとも2014年となる。
彼はアパート前の草場の中で帰りを数時間待ち、帰宅すると背後から呼びかけた直後に拳銃を5発撃ち、内2, 3発が胸に命中した (他は肩) 。拳銃はハウスの警備員がすぐに駆けつけ蹴り飛ばされた。事件後チャップマンは現場から逃走しようともせず、警官が到着するまで現場をうろついたり、『ライ麦畑でつかまえて』を読んだりしていた。
ジョン・レノンの容態は急を要したため救急車を待たず、駆けつけたパトカーの後部シートに乗せられ、近くのルーズベルト病院に搬送されたが、出血多量による死亡が確認された。
事件後の処分
逮捕後の裁判で彼は第二級謀殺の罪で告発された。弁護士は彼が精神異常であることを申し立てると思われたが、有罪の申し立てを行った。
チャップマンは第二級謀殺の罪で有罪と認定され、無期刑の判決を受けた。ニューヨーク州の州法では死刑は無く、20年服役後に仮釈放が許可される可能性がある無期刑が最高刑である[2]。チャップマンは現在ニューヨーク州バッファローの近くにあるアッティカ州刑務所に収監されている。
2000年から2012年まで2年ごとに8月に、州の仮釈放委員会に累計で7度の仮釈放申請が出されたが、チャップマンの精神や言動に反省や謝罪や更生が見られないこと、ジョン・レノンの遺族である妻子に対する再犯の可能性があること、ジョン・レノンの妻であるオノ・ヨーコらの反対、もしチャップマンが仮釈放されたらジョン・レノンのファンから報復で殺される可能性があることなどを理由として毎回不許可にされ[3] [4] [5] [6] [7] 、2013年現在も服役中である。
事件の疑惑
犯行当時、レノンの狂信的なファンであると報じられ、世界的にその報道が定着したが、さまざまな憶測も語られた。ケネディ大統領暗殺事件に似た陰謀的暗殺説[8]、CIAの関与した催眠術説などがあるが、現在はチャップマンの単独犯行であると結論付けられている。
暗殺説が語られた背景には、レノンの反戦運動の政治的影響力などがあると言われる。また、1981年にはレノンがアメリカ国籍を正式に取得することが可能となる予定であり (永住権取得後、連続5年滞在で申請資格が出来る) 、これがその直前の犯行に結びつけられることもあった[9]。
脚注
- ↑ ジョン・レノン殺害犯釈放にオノ・ヨーコが抗議 (映画.com 2010年7月28日付) 2010年9月8日閲覧
- ↑ Death Penalty Information Center>State by State>New York
- ↑ BBC News>23 August 2012>Lennon killer Chapman denied parole for seventh time
- ↑ Guardian>23 August 2012>John Lennon's killer Mark Chapman denied parole for seventh time
- ↑ Telegraph>23 August 2012>John Lennon's killer Mark Chapman denied parole for seventh time
- ↑ Daily Mail>23 August 2012>John Lennon's killer Mark David Chapman denied parole for SEVENTH time
- ↑ CNN>August 23 2012>Man who shot John Lennon denied parole for 7th time
- ↑ フィル・ストロングマン/アラン・パーカー共著『ジョン・レノン暗殺‐アメリカの狂気に殺された男』 (小山景子訳、K&Bパブリッシャーズ、2004年12月刊) ISBN 978-4902800012‐FBI資料をもとにレノン謀殺を説くノンフィクション。
- ↑ 『フリーメイソン暗黒史』2007年12月24日初版 イースト・プレス刊
参考文献
- ジャック・ジョーンズ『ジョン・レノンを殺した男』 (堤雅久訳、リブロポート、1995年11月刊) ISBN 978-4845710485
関連項目
- マーク・リンゼイ・チャップマン - ジョン・レノンの生涯を描いたアメリカ・NBCテレビのテレビ映画“John and Yoko: A Love Story”のジョン・レノン役のオーディションに参加、彼に決まりかけたものの、名前が似ていた事に夫人のオノ・ヨーコが難色を示したため、一転不合格となった(この時、彼は“マーク・リンゼイ”名義で応募していた。)。その後、2007年にチャップマンを主人公にレノン暗殺事件を描いた映画『チャプター27』では、レノンを演じた。