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[[ファイル:Gel elecro.JPG|thumb|電気泳動装置]] '''電気泳動'''(でんきえいどう)は、[[荷電粒子]]あるいは[[分子]]が[[電場]](電界)中を移動する現象。あるいは、その現象を利用した解析手法。特に[[分子生物学]]や[[生化学]]では[[デオキシリボ核酸|DNA]]や[[タンパク質]]を分離する手法としてなくてはならないものである。 ==歴史== [[19世紀]]初めに[[ロシア]]の[[物理学者]][[フェルディナント・フリードリヒ・ロイス]]が水中の[[粘土]]粒子で発見したのに始まる。19世紀終わりからタンパク質や[[アミノ酸]]などの研究に用いられ、[[1930年代]]に[[ティセリウス]]によってタンパク質の移動度を調べる方法として確立された。これは水溶液を用いる「無担体電気泳動」であったが、第2次大戦後、濾紙や[[デンプン]][[ゲル]]などの担体を用いた電気泳動が発展した。濾紙電気泳動(現在は主としてセルロースアセテート膜を使う)は[[臨床検査]]で[[血清]]タンパク質を分析する方法として用いられている。一方ゲルとしては、その後''' [[アガロース]] '''がよく用いられるようになり、現在でもDNA断片の分離・分析に用いられる。また[[1960年代]]に''' [[アクリルアミド|ポリアクリルアミド]]ゲル'''が開発され、これはタンパク質の分析やDNAの[[塩基配列]]決定に用いられる。ポリアクリルアミドゲルを用いたタンパク質分析法の一種として'''等電点電気泳動'''や'''二次元電気泳動'''がある。最近では無担体電気泳動である'''[[キャピラリー電気泳動]]'''が自動[[塩基配列]]決定に用いられている。 ==原理== 荷電粒子や分子はその荷電と反対の極に向かって移動する。移動中に[[水素イオン指数|pH ]]勾配があると、荷電が0となる点([[等電点]])で停止する。これが等電点電気泳動であり、タンパク質の分析に用いられる。 担体を用いる場合には、DNAやタンパク質などの[[高分子]]が担体分子に遮られ[[分子量]]の大きいものほど移動しにくくなる「[[分子ふるい]]効果」が働く。特にアガロースやポリアクリルアミドなどのゲルではこの効果が顕著なのでよく用いられる。[[核酸]]は一様にマイナスに荷電しているので一定方向(陰極→陽極)に泳動して分子量による分離が容易に行える。なお別の原理に基づいて大分子量のDNAを分離する'''パルスフィールド電気泳動'''もある。 タンパク質の荷電は種類によって大きく異なるが、陰イオン系[[界面活性剤]]であるドデシル硫酸ナトリウム (SDS) 存在下ではSDS分子がタンパク質分子に付着するため、タンパク質分子は陽極に向かって移動する。この方法がSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGEと略す)で、核酸の場合と同様に分子量による分離が行える。 担体を用いた電気泳動では各種の染色法で核酸やタンパク質の位置を検出することができる。例えば臭化エチジウムなど蛍光色素による核酸の検出、染料([[クーマシー・ブリリアントブルー]]など)や[[銀染色法]]によるタンパク質の検出がよく使われる。 泳動には[[直流]]電流を用いる。一般的な[[電源]]では[[交流]]電流であるので、AC-DCコンバータ(あるいは[[整流器]]ともいう)を用いて直流電流に変換してから電流を流す。 詳しくは関連各項目を参照されたい。 ==関連項目== *[[アガロースゲル電気泳動]] *[[パルスフィールド電気泳動]] *[[ポリアクリルアミドゲル電気泳動]] *[[キャピラリー電気泳動]] *[[二次元電気泳動]] *[[等電点電気泳動]] *[[DGGE]] *[[ゲルシフトアッセイ]] *[[サザンブロッティング]] *[[ノーザンブロッティング]] *[[ウェスタンブロッティング]] *[[電気浸透]] {{デフォルトソート:てんきえいとう}} [[Category:電気泳動|*]] [[Category:電磁気学]] [[Category:界面化学]] [[Category:分析化学]]
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