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[[Image:The Art of War Running Press.jpg|thumb|豆本]] '''豆本'''(まめほん、''Miniature Book'')とは、[[掌]]に収まる程度の小さな[[本]]の総称である。[[西洋]]では[[16世紀]]頃に流行し、[[聖書]]や[[物語]]の豆本が盛んに作成された。[[日本]]でも[[江戸時代]]後期頃に[[婦女子]]の[[娯楽]]用として作られ始め、'''芥子本'''、'''袖珍本'''、'''寸珍本'''、'''雛豆本'''などと呼ばれた。[[第二次世界大戦]]後にも2度流行期を経験している。 == 規格 == 絶対的な数値による定義は為されていないが、概ね以下のような大きさの本を豆本と呼ぶようである。 西洋では1バリコーン以上3[[インチ]]以下(8.5[[ミリメートル|ミリ]] - 76.2ミリ)のものを指し、これより大きなものを''Small Book''、小さなものを''Micro Book''と呼ぶ。 日本では江戸時代に「[[和紙|美濃半紙]]を8つ切した大きさ(およそ14センチ×10センチ)」が標準であった。[[明治]]以降は1辺が10センチ以下のものを指し、近年まで下限はなかったが、極小サイズの豆本作成が米粒に文字を[[印刷]]するといった[[マイクロ]]技術の分野に取り込まれた結果、[[欧米]]の表現に倣い1センチ以下の本を「マイクロブック」と呼ぶようになっている。 == 歴史 == === 西洋 === *[[16世紀]]には手書きによる豆本の発行が始まっており、聖書の抜粋本などが作成されていた。 *[[産業革命]]以降、[[鉄道]][[旅行]]が一般化し、旅の友として小さなサイズの本に対する需要が増加した。特に聖書と娯楽本の需要は高く、豆本の浸透に貢献した。 *[[ドールハウス]]用に作られた小さな本のうち、実際にページを開いて読むことができるものも、豆本に分類される。 === 日本 === *江戸時代後期に娯楽本として製作される。明治以降、コストのかかる豆本は利益第一主義の出版界において注目されず、一部の好事家が作成するにとどまっていた。 *[[1953年]]([[昭和]]28年) [[札幌市|札幌]]で「ゑぞまめほん」が刊行され、全国的な豆本ブームの火付け役となる。 *[[高度経済成長]]期に愛書家達の間で豆本の会員制限定出版が盛んに行われた。1つの会に300人程度の会員を集めて豆本の製作が行われたが、1度目のように巷に広がるほどのブームとはならなかった。 == 世界最小豆本への挑戦 == 豆本誕生以来より、「いかに小さな本にするか」という挑戦と競争は行われていたようである。より小さな本を作ることは、その[[国]]または[[企業]]の[[製紙]]技術と[[印刷]]技術が共に高度に優れていることを誇示することに繋がるため、現在に至るまでその挑戦は止まることを知らないでいる。 *第二次世界大戦後、[[西ドイツ]](当時)[[マインツ]]の[[グーテンベルク博物館]]が、改修資金調達のために5.5ミリ四方の豆本を発行したのが正式な記録に残る最も小さな豆本であるとされる。文字の大きさは0.17ミリ、1ページに70文字前後が印刷され、内容は聖書から「主の祈り」を抜粋したもので、[[ドイツ語]]を始めとして[[英語]]([[イギリス|英国]]・[[アメリカ合衆国|米国]])、[[フランス語]]、[[オランダ語]]、[[スペイン語]]、[[スウェーデン語]]の7ヵ国語が刊行されていた。 *[[1965年]]、[[凸版印刷]]が3.5ミリ四方の豆本を出版し、当時の世界記録を更新する。文字の大きさは0.12ミリ。内容は「[[小倉百人一首]]」、漢詩「飲中八仙歌」(以上日本語版)と、[[エイブラハム・リンカーン|リンカーン大統領]]の「[[ゲティスバーグ演説]]」、[[モーゼ]]の「[[創世記]] 第1章」(以上英語版)。拡大鏡付きのケース入りであった。 *[[1978年]]、グレニファープレス社([[スコットランド]])から2.1ミリ四方の豆本が出版され、[[ギネス・ワールド・レコーズ|ギネスブック]]に登録される。 *[[1979年]]、日本で2.0ミリ四方の豆本「[[誕生石|BIRTHSTONE]]」「[[花言葉|LANGUAGE OF FLOWERS]]」「[[西洋占星術|THE ZODIACALSIGNS AND THEIR SYMBOLS]]」が出版される。世界最小を更新するも、ギネスブックへの登録申請はされなかった。 *[[1981年]]、凸版印刷が1.4ミリ四方の豆本を出版する。内容は聖書の「主の祈り」。世界最小を更新し、ギネスブックに登録。 *[[1982年]]、日本聖書協会が「世界最小の新約聖書」と銘打った3.4センチ×2.6センチの[[新約聖書]]を発行。キーホルダー付ケース入り。 *[[1985年]]、グレニファープレス社が今度は1ミリ四方の豆本を出版する。内容は童話「[[マザーグース|OLD KING COLE!]]」。世界最小を更新しギネスブックに登録される。 *[[1996年]]、[[ロシア]]で0.9ミリ四方の豆本「[[カメレオン]]」が出版される。世界最小を更新し、ギネスブックに登録。 *[[2002年]]、凸版印刷が0.95ミリ四方の豆本「[[十二支]]―CHINESE ZODIAC」を発行。[[印刷博物館]]にて発売。 *[[2013年]]、凸版印刷が0.75ミリ四方の豆本「四季の草花」を発行。印刷博物館にて発売。 == 関連資料 == *'''印刷博物館''' :[[東京都]][[文京区]]水道1-3-3トッパン小石川ビル :(0.75ミリ四方の豆本をミュージアムショップにて発売中) *'''現代豆本館''' :[[静岡県]][[藤枝市]] :(開業医 故小笠原淳氏 私設図書館) *'''[[国立国会図書館]]''' :東京本館 ::東京都[[千代田区]][[永田町]]1-10-1 ::(第136回常設展「豆本-ちひさきものの世界-」を[[2005年]][[3月17日]]~[[5月17日]]の日程で開催) *'''[[まめまつり]]''' :東京で開催されている自作豆本の展示即売会 == 外部リンク == *[http://www.ndl.go.jp/ 国立国会図書館] *[http://www.printing-museum.org/ 印刷博物館] *[http://mamehonkyo.jp/ 日本豆本協会] *[http://mamefes.info/ 豆本フェスタ2(オリジナル豆本の展示即売会)] [[Category:書字・形態別の書物|まめほん]]
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