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'''星間物質'''(せいかんぶっしつ, Interstellar medium :ISM)は、[[恒星]]間の宇宙空間に分布する希薄物質の総称である。密度では、地球の上層大気よりも遙かに希薄であるが、地上からもしばしば[[星雲]]として観測される。大量の星間物質が凝縮して、星を構成する材料にもなる。 == 概要 == 星間物質は、気体の[[星間ガス]]と、固体の細かい塵である星間塵([[宇宙塵]])に分けられる。前者は主に[[水素]]や[[ヘリウム]]などの軽い気体、後者は[[珪素]]や[[炭素]]、[[鉄]]、[[マグネシウム]]などから成る微粒子である。存在比でいうと星間ガスの方が多い。一部の星間物質が濃密に凝集して[[星雲]]・[[分子雲]]を形成することがあるが、大部分は可視光では観測不能で、[[赤外線]]や[[電波]]の放射によって観測される。 星間物質の平均密度は、1立方センチあたり水素原子が一個から数個程度であり、地上の実験室で達成できる真空状態を遙かにしのぐ超高度真空状態であるが、極めて低い密度ながらこうした物質が全体に存在しており、分子雲などではより密度が高くなっている。とくに[[銀河]]において、中心核(バルジ)やそれを取り巻く円盤部分、そして銀河全体を包み込む球状の[[ハロ]]などには大量に分布している。星間物質の総量は、銀河系に属する恒星の総質量の約10%を占めると推定されている。 [[サイエンス・フィクション|SF]]においては、未来の[[恒星船|恒星間宇宙船]]が超高速で宇宙を飛ぶ時に、星間物質がちょうど[[空気抵抗]]と同じように無視しえない抵抗となって、宇宙船が破壊されかねないため亜光速で飛ぶことは不可能になるとも指摘されているが、これを逆に[[ラムジェットエンジン]]の要領でエネルギー源とするアイデアも出されている。1960年に[[ロバート・バサード]]が磁場によってこのような星間物質を集め、燃料にする、恒星間宇宙船のための星間物質によるラムジェットエンジンは可能とみた提案を発表したため、この種の星間物質を利用したエンジンは「[[恒星船#バサード・ラムジェット|バサード・ラムジェット]](あるいはバサード式ラムジェット)エンジン」と呼ばれる。 == 三相モデル == 1969年にフィールド (Field)、ゴールドスミス (Goldsmith) とハビング (Habing) がそれまでに観測された星間空間の性質を説明するために"二相モデル"というものを提案した。このモデルでは星間空間は、ほとんどが中性の(イオン化されていない)水素分子によって構成され、低温 (300 K以下) で密度が高い分子雲相と、中性かもしくは電離されたガスで構成される、比較的高温 (およそ1000 K) の希薄な分子雲間ガス相に分けられる。1977年にマッキー ([[:en:Christopher McKee|McKee]]) と[[エレミア・オストライカー|オストライカー]]([[:en:Jeremiah P. Ostriker|Ostriker]]) はさらに[[超新星爆発]]によって発生した衝撃波によって温められた超高温(およそ1,000,000 K)な相を加えた。この相は星間空間の体積の大半を占めている。彼らの論文はここ25年以上に及ぶこれらの研究の基礎についても言及されている。しかしながら、これらの相の分類やその比率については天文学者の間で現在も議論がなされている。 以下の表は、星間空間の相についての温度・密度・主な構成粒子についてまとめたものである。 {| class="wikitable" style="text-align:center;" |+星間空間 (ISM) の相 |- !天体(相) !占める割合 !温度<br />(K) !密度<br />(atoms/cm3) !主な粒子の形態 |- |[[分子雲]] |< 1% |20 - 50 |10<sup>3</sup> - 10<sup>6</sup> |水素分子 |- |低温中性雲 (CNM) | 1-5% |50 - 100 |1 - 10<sup>3</sup> |水素原子 |- |高温中性雲 (WNM) |10-20% |1000 - 5000 |10<sup>-1</sup> - 10 |水素原子 |- |高温電離雲 (WIM) |20-50% |10<sup>3</sup> - 10<sup>4</sup> |0.01 |水素イオン |- |[[HII領域]] |~10% |10<sup>4</sup> |10<sup>2</sup> - 10<sup>4</sup> |水素イオン |- |[[コロナ|コロナガス]]<br />超高温電離雲 (HIM) |30-70% |10<sup>6</sup> - 10<sup>7</sup> |10<sup>-4</sup> - 10<sup>-2</sup> |非常に電離度が高くほとんどの粒子がイオン化 |} == 関連項目 == *[[星間ガス]] *[[宇宙塵]] *[[星間分子の一覧]] *[[光解離領域]] {{DEFAULTSORT:せいかんふつしつ}} [[Category:天体]] [[Category:天文学]] [[Category:天文学に関する記事]]
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